天堂紅華・神編
前日譚Short Story【俺の日常】

――夜・彼女の自宅。
俺は彼女と2人でテレビドラマを観賞していた。
彼女の家族がリビングにいない時は、こうして過ごすのが日課になっている。
前回のドラマでは、主役の女性が恋人と喧嘩をして終わっていたのが……。

『俺と結婚してほしい』
『ふふっ。やっと言ってくれた』

……ついにか。いつプロポーズするのかとやきもきしていたが……本当に良かった。しかし、結婚か……。

「なあ、珠沙――」

隣を見ると、彼女は眠ってしまっていた。

「……俺と結婚してほしい」

ぽつりと呟き、彼女の頬にキスを落とす。

「次は、お前が起きている時に言う」

正式な夫婦にはなれないが、それでもこの気持ちに応えてほしい。

「求めすぎか……」