魅ナミ・天編
前日譚Short Story【遊園地に行こう】
……まーたしょぼくれた顔してる。
商売するオレの横で、しけた面をしてるオレの女。
考えるまでもなく、現世にいる家族のことを気にしてるとわかる。
……ま、もう少し様子見してよーかな。この面を眺めてるのも楽しーし。
「ねえ、ねえ。店じまいにして、パフェ食べに行かなーい?」
「……」
「オレね、期間限定の食べてみたいんだよね~」
「…………」
「おい。聞いてんのか?」
「あ、え……? ごめん、なんて言ったの?」
「……」
しけた面はいいけど、無視されんのだけは無理。
「こないだも聞いたけどさあ……なに悩んでんの?」
知らないふりをして聞いてみても、コイツは言わない。
「悩んでなんかないよ」
……ほらね。
隠し事されるのは腹が立つ。
「遊園地いかない?」
「……また唐突だね。というか、遊園地なんてあるの?」
「うん、とっても楽しいところだよ。特にオマエにとっては、ね♥」
「……行くのは今度にしておくよ」
「ふーん、そう。とりあえず、今日はもう店じまい~。パフェ食べに行こ♪」
「今日もお仕事お疲れさま」
「うん♪」
コイツの精神が不安定になろうが、別にどーでもいい。
ただ、オレに隠し事するとどーなるのかは教えておきたい。
……だから覚悟してね。あはっ♪