狐春・神編
前日譚Short Story【俺の日常】
――成海ヶ浜。
俺は桃嘉と話すため、九十九神社まで来ていた。
話はすぐに終わり、解散――とはならず。
「明日は僕もお邪魔していいですか……?」
遠慮がちにそう言われ、思わず笑ってしまう。
「ふっ、大歓迎だ。あいつも喜ぶ」
「良かったです! では、タイミングを見計らって登場するです」
「あの~……我も仲間に入れてほしいのだが……」
「うわ!?」
いつからいたのか、幸麿が俺の着物の袖を引っ張ってきた。
「びっくりさせるな! 普通に話しかけてこい!」
というか、どこで俺たちの話を聞いてたんだよ……。
「で、我も行ってよいか?」
「ああ、いいぜ」
「わーい! 久しぶりに元主様に会えるのじゃ♪」
「幸麿さん、あんまり騒がしくしないでくださいよ」
……明日は賑やかになるな。
この空気が、あいつの心を癒せればいいが……。