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  • ロラン・クライデル 「ふふっ……可愛い……」
  • ロラン・クライデル 「ねえ、君の色んな顔を見せて……。
     僕がいっぱい、気持ちよくしてあげるから」
  • ロラン・クライデル 「君は、何も考えなくていいんだ。
     全部、僕に委ねて……」
  • 彼の妖艶な眼差しに、囁く声にぼうっとしてしまう。
  • シリーン (でも……)
  • このまま流されてはいけないと思った。
    だって彼は、やりたくてしていると思わなかったから。

    今まで私は、多くの男の目を見てきた。
    嗜虐心や征服欲の透けた眼差したち――。
    でもロラン様の目はその男たちのどれでもなかった。

    濁った、何も考えていないような目。
    でもその奥では悲しみと怯えが燻っている。

    感情を吐き出す術を知らないから。
    泣けないから、彼は私を喜ばせようとする。

    あまりに矛盾した行為で、それでも彼にとっては当たり前な方法。
    だから、私は彼の肩を渾身の力で押し返した。
  • シリーン 「ロラン様。やめて、ください……」
  • ロラン・クライデル 「え……? なんで……?
     やめてって……そんな、嫌だったんですか?」
  • ロラン・クライデル 「じゃあ……僕は、どうすればいいんですか……?
     僕は……っ……何、を……っ……」
  • 初めてその目に感情が宿り、涙が浮かんだ。
    ぽろぽろと涙を零して、ロラン様がしゃくりあげる。
  • ロラン・クライデル 「う……ひっく……っ……
     やだ……嫌です……っ……嫌いに、ならないで……」
  • ロラン・クライデル 「気持ちよく、するから……
     精一杯頑張るから……僕を、一人にしないで……」
  • 肩を震わせて泣き続けるロラン様。
    一人にしないでと言う声。
    ふとかつて彼と交わした会話を思い出した。