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◆オサナナジミ編

「で、どうなのだ?」

「は? なんだよ、いきなり」

「貴様とアマデウスの仲を聞いている」

「あ、それ、ボクも気になる!」

「べ、別に、ただの幼なじみだって」

「オサナナジミ……」

「えー、ほんと? オレがオマエを守る!
 とか言って、いつも張り切ってるじゃん」

「やれやれ。この程度のレベルで
 ナイト気取りとは、聞いて呆れる」

「うるせー! アンタこそ、なにかにつけて
 アイツに触ろうとすんのやめろよ!」

「アイツが困ってんの、わかんないのかよ
 このエロ天使!」

「な! わ、私は断じてやましいことなど
 していない!」

「か、彼女が困ってる……? でも話しかけると
 いつも笑ってくれるしそんな素振り全然、いや
 実は愛想笑い、って彼女はそんなひとじゃ……」

「彼女ってさ、ヒロヤと一緒にワールドVに
 きたんだよね?」

「ワールド、ブイ……?」

「ワールドVってのは、サーバの名前。
 普通のゲームとは違う、ボクらが
 閉じ込められてるこの世界のこと」

「サーバって……?」

「あーもう、話が進まない!
 あとで説明してあげるから、ちょっと
 静かにしててもらえる?」

「……ごめん」

「彼女、確かお兄さんを捜してるって
 言ってたよね?」

「ああ。志貴さん……アイツの兄貴が
 行方不明なんだ」

「いなくなる少し前に、
 ワールドVには近づくな、ってメッセージが
 入っててさ」

「なるほど。彼女の兄がワールドVに
 いる可能性があるということか」

「わあ! ラディウス、いたんだ」

「あまりにくだらなすぎて、
 話題に加わる気にならなかっただけだ」

「そんなこと言って、ずっと聞き耳
 立ててたんじゃないの?」

「え、マジで?」

「! バカな。あんたと彼女の関係なんかに
 なんの興味もない」

「おれは、興味あるな。彼女のことなら、
 なんでも知りたい」

「ちょっとまったぽよー!!」

「あ、ポヨポヨ」

「ポヨポヨを差し置いて彼女の話とは
 いい度胸ぽよ!」

「幼なじみなんて言ってるけど、ヒロヤは
 高校に入ってから彼女とほとんど
 喋ってなかったはずぽよ」

「な、なんでそんなこと知ってんだ!?」

「むっふっふ。ポヨポヨは凄腕の
 情報屋ぽよ。これくらい朝飯前ぽよ!」

「えー、でもさ、それで幼なじみって
 おかしくない?」

「いや、それはいろいろあって……」

「彼女ってさ、実際、ヒロヤのこと
 どう思ってるのかな」

「え?」

「おれ、彼女に聞いてくる」

「それは面白そうぽよね。
 ポヨポヨも興味津々ぽよ!
 レッツゴーぽよ!!」

「お、おい、待てよ!
 ザイン! ポヨポヨ!!」

「あらら。みんな行っちゃった」

「俺はここにいる。
 それに、さっきからひとりでブツブツ
 言ってる奴がそこに」

「いやでも彼女を疑うなんてありえないし、
 そもそも僕は次に彼女に会ったときに
 どんな顔すれば……」

「あ、まだやってたんだ、それ」

END