■更新履歴

2017年03月01日
◆人気投票の受付を終了しました。

2017年02月15日
◆サンプルボイスの公開を終了しました。

2017年02月01日
◆キャラクター人気投票開始!

2017年01月25日
◆カウントダウンボイスの公開を終了しました。

2017年01月19日
◆本日発売!
バージョンアップパッチ情報
発売記念イラスト
◆贈り物:発売記念小話、カウントダウンバックナンバー

2017年01月13日
◆発売カウントダウン開始

2017年01月11日
◆贈り物:絵師コメント

2016年12月28日
◆人物:【朧】ちびキャラ
◆画廊:3枚
◆楽曲:【主題歌情報】CD情報
◆贈り物:プレイムービー1本、ツイッターアイコン、壁紙

2016年12月21日
◆人物:【攻略対象】立ち絵差分、【脇役】【朧】サンプルボイス2
◆贈り物:プレイムービー1本

2016年12月14日
◆人物:【対武将・対姫】サンプルボイス2
◆画廊:2枚
◆贈り物:プレイムービー2本

2016年12月07日
発売記念抽選会のお知らせ
◆人物:【攻略武将】サンプルボイス2
◆贈り物:プレイムービー

2016年11月30日
◆人物:【相関図】
◆楽曲:【音楽情報】BGM試聴

2016年11月22日
◆人物:【脇役】サンプルボイス1
◆贈り物:プレイムービー
◆製品情報:【限定版特典】【予約特典】

2016年11月16日
ツイッターRT企画開催!
◆画廊:1枚
◆仕様:【作戦始動手合せ】
◆贈り物:プロモーションムービー

2016年11月9日
◆人物:【対武将・対姫】立ち絵差分、サンプルボイス1

2016年11月2日
◆人物:【主人公と攻略武将】立ち絵差分、サンプルボイス1

2016年10月26日
◆人物:【対武将】立ち絵差分
◆贈り物:オープニングムービー

2016年10月19日
◆人物:【脇役】(家康)立ち絵差分
◆画廊:2枚
◆仕様:【基本システム】
◆製品情報:【店舗特典】

2016年10月12日
◆人物:【対武将】(光秀、幸村、盛政、秀吉)【脇役】(昌幸、成政)立ち絵差分

2016年10月05日
◆画廊:1枚
◆楽曲:【音楽情報】BGM試聴

2016年09月28日
◆贈り物:【スペシャルボイス】勝家編・半兵衛編

2016年09月21日
◆画廊:2枚
◆贈り物:【スペシャルボイス】信長編・信玄編

2016年09月14日
◆贈り物:【スペシャルボイス】長政編

2016年09月07日
◆人物:【朧】立ち絵差分
◆画廊:1枚

2016年08月24日
◆人物:【対武将・対姫】【脇役】
◆贈り物:オトメイトパーティー2016公開ムービー

2016年08月10日
◆楽曲:【音楽情報】BGM試聴
◆製品情報:【限定版特典】【予約特典】

2016年07月27日
◆人物:【攻略武将】私服立ち絵
◆画廊:1枚

2016年07月13日
◆物語:世界観・用語集
◆人物:外出着(主人公)、【対武将】
◆画廊:3枚

2016年06月29日
◆物語:尾張織田家と朧
◆画廊:2枚
◆楽曲:コメント
◆贈り物:応援バナー(主人公)ツイッターアイコン(主人公)

2016年06月15日
◆人物:私服立ち絵、【脇役】

2016年06月01日
◆人物:ちび甲冑立ち絵
◆贈り物:ツイッターアイコン

2016年05月25日
◆物語:世界観・用語集
◆人物:甲冑立ち絵
◆楽曲:音楽情報、主題歌情報
◆贈り物:応援バナー

2016年05月18日
公式サイト公開

2016年04月15日
ティザーサイト公開


読み込み中



雨の中で



 朝から政務をこなしていた長政は、末尾に近付いたところで一旦筆を止めた。


長政
「ふう……もう少しで終わりそうだな。……ん?」


 空気を入れ換えようと障子に手を掛けると、音もなく雨が降っている。


家臣
「気付いていなかったのですか?」
長政
「ああ。政務に集中していたからな」


 家臣の言葉に、目許を押さえながら長政は頷いた。


家臣
「このところ働きすぎではありませんか? ここは大丈夫ですから、少し休んでください」


 朝から晩まで政務に没頭している長政を、家臣は気遣う。


長政
「いや、これだけは済ませる……おっと……」


 筆に墨を付けすぎたのか、紙の上に垂らしてしまった。
最初から書き直しだと、長政はがっくりと肩を落とす。


家臣
「やはり、お疲れのようですね。あとは私がやっておきますので、長政様は休んでください」
長政
「すまない……」


 家臣に残りの仕事を任せて、長政は部屋を出た。
とはいえ、このまま自室に戻って横になるのは、まだ家臣達が仕事をしているのに申し訳ない。


長政
「そういえば、この頃遠乗りをしていなかったな。小雨だし、久しぶりに出かけるか」


 気分転換をかねて、外へ出かけようと長政は馬屋へ向かった。

 ×  ×  ×

 同じ頃、甲斐国――。
しとしとと雨が降る中、信玄を先頭に昌幸と幸村が堤の様子を見に来ていた。


昌幸
「信玄様、この堤は崩れる心配はなさそうです」
信玄
「そ、そうだな」
幸村
「なあ、信玄。堤の見回りくらいおれ達に任せればいいだろ」


 国主自ら見回りをする必要はない、と
唇を尖らせている幸村の肩に手を置き、昌幸は苦笑を漏らす。


昌幸
「いいじゃないか。信玄様は領内の安全を確認したいのだ」
幸村
「でも……」
昌幸
「いいんだ」


 念押しする昌幸に、幸村は何か言いたそうに口を動かしていたが、やがて黙り込んでしまう。


昌幸
「信玄様、そろそろ城へ戻りましょう」
信玄
「ふ、二人は先に戻ってくれ。わしは、もう少し見てから帰る」
幸村
「えー、まだ回るところあるのかよ? 仕方ないなぁ……ぐうっ」


 文句を言いながらもついて行こうとする幸村の首根っこを掴み、昌幸は口を開いた。


昌幸
「承知いたしました。信玄様、いくら雨足が弱まっているとはいえ、
長く外にいると体を冷やしてしまいます。なるべく早くお戻りください」
信玄
「わ、分かった。それじゃあ……」


 歩き出した信玄を笑顔で見送り、昌幸は幸村を連れて館へ戻ろうと反対側の道を進む。


幸村
「父上、信玄ひとりで大丈夫かな?」
昌幸
「信玄様は、一人になりたいのだ」
幸村
「……なんで一人になりたいんだ?」


 背後を顧みた幸村は、ぽつりと呟いた。


幸村
「……信玄?」


 既に姿は見えなくなっていたが、彼は何処へ向かったのだろう。

 ×  ×  ×

 尾張国・清洲城――。
信長の部屋で、胡座をかき日ノ本の地図とにらめっこしていた勝家は、
尾張の隣にある美濃国をまじまじと見つめている。


勝家
「森部の戦いに勝ったとはいえ、斎藤龍興を倒したわけじゃねえ。
それに敵は墨俣の北方……十四条に軍勢を集めているらしい」
信長
「問題ない。全て叩き潰す」
勝家
「だが、いまだに形成は劣勢だぞ?」
信長
「ふん、この程度で俺が手詰まると思うのか? 
早急に美濃を制し、いずれは上洛を目指す。そのためにも、お前がいるんだろう?」
勝家
「はっ、そこまで言われちゃあ、何が何でも勝利をもたらさないとな」


 自身の膝を叩き、勝家はにやりと笑う。


勝家
「……とはいえ、敵に厄介な軍師がいるだろ。奴をどうにかしねえと」
信長
「竹中半兵衛か」


 信長は、すっと目を細めた。斎藤家の天才軍師・竹中半兵衛。まだ年若い男だそうだが、
知略は美濃だけでなく尾張までも轟かせている。彼が軍略を練れば、戦は長引くことは必定だ。

 ×  ×  ×

 美濃国・山中――。
雨に濡れるのも気にせず、半兵衛は弓の鍛錬に勤しんでいた。
的に見立てた木の幹には、たくさんの矢が突き刺さっている。
濡れた前髪を、煩わしそうに片手で払ってから矢を番えた。
風を切る音が響き、また新たに矢が的に刺さる。


半兵衛
「ふう……」


 ゆっくりと息を吐き、半兵衛は弓を下ろした。体はすっかり冷えていたが、苛立ちは収まらない。
こうしてじっとしているだけで、また胸の中がむかむかしてきた。

半兵衛の機嫌が悪いのは主君、斎藤龍興が酒色に溺れ、
政務を疎かにしているからだ。もともと奔放な性格で、父親が退いてから更に拍車がかかった。
道三の頃から斎藤家に仕えてきた半兵衛にとって、龍興のだらしなさは目に余る。

まだ苛立ちが収まらないから、と半兵衛は矢筒に手を伸ばそうとした時、
こちらへ向かってくる者に気付き、手を止めた。
現れたのは同じ斎藤家の家臣だ。自分と同じく、龍興のことを快く思っていない男である。


家臣
「竹中殿、探したぞ!」
半兵衛
「何か僕に用ですか?」


 そっけなく返事をする半兵衛に、男は困惑した表情を浮かべた。


家臣
「龍興様は己の言うことを聞く一部の家臣のみ重宝し、我々の言葉に耳を貸そうとしない。
不満を訴える者が後を絶たないのは知っての通りだろう」
半兵衛
「それで?」
家臣
「皆、もう我慢できないと爆発寸前だ。中には謀反を企てている者もいる」


 そこまで考えている者もいるのか、と半兵衛は心の中で呟いた。そう思うのも無理もない。
まともな考えを持つ者ほど、龍興は遠ざけるのだから。


家臣
「私も彼らと思いは同じだ」
半兵衛
「なるほど……謀反ですか」


 僅かに口角を上げ、半兵衛は男に向き直る。


半兵衛
「これを利用するのも、悪くないですね」
家臣
「では、竹中殿も……」
半兵衛
「ええ、龍興様を懲らしめましょう」


 それで改心するのならば上々。反省せずに憤るだけならば見限るだけだ。
半兵衛の不適な笑みを見て、男が唾をごくりと飲み込んだ。
味方になるのは心強いが、何を考えているのか読めないといった表情だ。


半兵衛
「詳しくは後ほど。行く所があるので、僕はこれで……」


 男と別れ、半兵衛は森の奥へ向かった。
傘も差さずに弓を射っていたため、着物が体にはりついて気持ち悪い。体温もすっかり奪われ、寒気もした。
しかし、半兵衛は気にせず歩を進める。
雨に濡れて重くなった着物の袖が、半兵衛の背丈ほどある木の枝に引っかかった。
外そうと勢いよく腕を動かしたら、反動で手の甲を切ってしまう。


半兵衛
「痛っ……」


 傷口から赤い血が滲みでてきた。雨に混じって薄まった血が流れ落ちた。


半兵衛
「あ……」


 その血を受けたのは、紫色の桔梗の花だ。


半兵衛
「……もう夏なのか」


 桔梗は秋の花だと思われがちだが、梅雨頃から咲き始める。血を受けた花を手折り、再び歩き出した。
しばらくすると雨足は弱くなり、淀んだ灰色の雲から日が差し込んできた。
目的地に到着する頃には、雨も上がり柔らかな光と共に虹が架かっている。


半兵衛
「虹か……」


 七色の橋を見つめ、半兵衛はほっと息をついた。

 ×  ×  ×

長政
「美しいな……」


 見事な曲線を描いている虹を眺めていた長政は、その美しさに目許を綻ばせる。
その手には桔梗の花が握られている。城に戻る途中で見つけたものだ。
それから、城に戻った長政は政務に戻ろうと家臣がいる部屋へ向かった。


家臣
「おかえりなさいませ、長政様」
長政
「ああ、ただいま」
家臣
「おや、桔梗の花ですか?」


 長政の手にある花を見て、出迎えた家臣は目を瞬かせた。


長政
「山の中で見つけたんだ。綺麗だろう?」
家臣
「ええ、とても。何か生けるものを探してきましょう」


 微笑む長政に頷き、家臣は席を立った。
入れ替わりに長政は腰を下ろし、文机の前に積み上がった書類に目を通す。
気分転換に外の空気を吸えたので、頭はすっきりしている。この調子なら、日が暮れるまでには仕事も終わるだろう。

 ×  ×  ×

 部屋で長いこと次の戦について話し合っていた信長と勝家の耳に、侍女達のはしゃぐ声が聞こえた。


信長
「……なんだ?」
勝家
「虹だって騒いでるみてーだな。どれどれ……おっ、雨も上がったみたいだぞ」


 障子を開け、勝家は空を見上げた。遅れて信長も立ち上がり、外の様子を見る。
雨に濡れた中庭は、光を浴びてきらきらと輝いていた。


信長
「こんなちっぽけな領土で満足するものか。ここからが天下統一に向けた大一番だ」


 そう呟くと、信長は唇を歪める。勝家も同意し、力強く頷いた。


勝家
「ああ、これからだ」


 尾張、美濃だけではない。日ノ本すべてを手に入れる。
それが信長、そして勝家を含めた織田家臣の願いだ。


勝家
「近いうちに戦が始まるだろう。俺様としちゃあ願ったりだが、信長がいないと姫さんが寂しがるんじゃねぇか?」
信長
「市か……。出陣前に時間を取る」
勝家
「そーかよ」
信長
「そういうお前こそ戦に出れば、あいつをからかえなくなるぞ」
勝家
「はっ、うるさい姫さんと離れられて清々するぜ」


 そんな話をしていると、侍女達の笑い声の中に市の声が混じっているのに気付く。
彼女も虹を見てはしゃいでいるようだ。

信長と勝家は互いの顔を見合わせ、ふっと笑う。もう少ししたら、市のもとへ向かおう。
きっと満面の笑顔を見せてくれるに違いない。

 ×  ×  ×

 甲斐国では、まだ雨は止んでいなかった。
信玄は目の前にある小さな石が、これ以上濡れないように番傘を差す。
自分の肩が濡れるのも気にせず、信玄はそれを見つめたまま聞こえるのがやっとの声で言葉を紡ぐ。


信玄
「朧……」


 それは怒りなのか、悲しみなのか、それとも別の感情なのか……。彼の心情を解する者はいない。
ぽつ、ぽつ……と雨音が小さくなっていく。やがて音は止み、光が差し始めた。


信玄
「雨が上がったのか……」


 番傘をたたみ、信玄は空を仰ぐ。雲の割れ目から太陽の光が注いでいるのを見て、目を細めた。


幸村
「おーい、信玄。どこだー?」


 なかなか帰ってこないのを心配して探しに来たのだろう。信玄は声のする方へ体を向け、歩き出す。


信玄
「ゆ、幸村―! いま行く!」
幸村
「早く来いよー!」


 幸村と合流後、信玄は館へと戻かう。

 ×  ×  ×

 ――同じ時、それぞれの場所で過ごす彼らは、やがて一人の姫と出会う。

漆黒の髪と碧い瞳を持つ彼女が彼らを光の先へと導き、
それぞれの運命が動き出す……これはその少し前の話である。

【完】